日本中の不幸を集めに集めた長嶋茂雄自身は幸福だったのか。ジョン・レノンのように歌えたのか

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「『長嶋茂雄』を続けるのはしんどいですよ」

 長嶋本人がこう語ったことがあると、訃報翌日の日刊スポーツ1面で、元担当記者・沢田啓太郎氏が書いていた。

 背筋を伸ばしながら思ったのは、当時、日本中の不幸を集めに集めた長嶋自身は幸福だったのかということだ。多くのマスコミが書くように、本当に心から天真爛漫、自由奔放、ハッピーハッピーだったのかと。

 ジョン・レノンは「ゴッド」(70年)という曲で「俺はビートルズなんて信じない」と激しく歌った。

「俺は巨人軍なんて……」と歌いたかった日は、本当に、たった一日たりともなかったのか。そんなことを考えて、背筋がさらにすっと伸びた。

 さて。昭和のシンプルなそれとは違う、複雑な不幸が日本という国を覆い始めている。長嶋茂雄を継ぐスーパースター=大谷翔平は果たして、この複雑怪奇な令和の不幸を総和することなど出来るのだろうか。

 冴えた方法が1つだけあるとすれば、それはジョン・レノンのように歌うことだと思う。私はそれを聴きたい。背筋をすっと伸ばしながら。

▽スージー鈴木(すーじー・すずき) 1966年、大阪府生まれ。早大卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。ラジオDJとしても活躍中。

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