恩師の口から語られた“KKドラフト”の真相…「私も知らない。桑田も知らなかったと信じている」
「あのとき私は、1位指名終了後に、体育館に設けられた会見場で清原と彼の両親とひな壇に座ることになっていたから、野球部の研志寮で待機していた。次から次に読み上げられる『清原』の名前をテレビの音声で聞いていたら、最後に『第1回選択希望選手、読売……桑田真澄』という声が耳に飛び込んできたから、ビックリした。瞬間、『アッ!』と思わず大声を出してしまったことだけは覚えているけど、そのあとのことはもうてんやわんやで、はっきりとした記憶がないんだよ」
当時の新聞には、「2人の純粋な気持ちをぶち壊す指名。ボクとしては巨人と会う気はない」という監督のコメントが残っている。監督にとっても寝耳に水だった。
「桑田には、本人の口から『早稲田に行きたい』と聞いていたし、そのつもりで受験の準備もしていた。実は、ドラフトの前に広島の木庭スカウトが私を訪ねてこられた。目利きでならした木庭さんは当時、プロ野球スカウトのまとめ役を務められていて、12球団を代表して話をしたいということだった。聞かれたのはただひとつ。『桑田君は本当に早稲田に進学されるんですね。間違いないですね』ということだった。私は、『本当ですよね? と聞かれても、私は桑田からそういう希望を聞いています。間違いないも何も、私も桑田もそのつもりで準備しています。不安に思われるなら、桑田のご両親に聞いてみたらいかがですか』と言って、実際に面談をしていただいたくらい。今思えば、プロの中には『進学希望の桑田を強行指名する球団があるかもしれない』という話が出ていたのかもしれない。でも、そんなことは私は知らないし、もちろん桑田も知らなかったと信じている」