黒田博樹は海の向こうでもずっとカープのことを気にしていた
天気と同じく、どんよりした気持ちで隣り合わせで座りました。列車が出発してしばらくするとクロは、「つらいっすわ」とうなだれると、神妙な表情をしながら「この新幹線、脱線しないですかね」とボソッとつぶやいたのです。
今でこそ日米通算200勝を達成した大投手ですが、このときは3戦連続で負けが続いていました。開幕前の二軍のオープン戦では、1回10失点を喫したこともありました。打たれるつらさを痛感すると同時に、自分に対するふがいない気持ちが口をついたのでしょう。
その後、カープでエースとなり、メジャーでも活躍したクロは、「一球の重み」を大事にしています。ルーキーの頃から、この一試合、この一球に対する思いは強かったように感じます。
グラウンド外では、一緒に食事をしたり、酒を飲んでカラオケを歌ったりもしました。メジャーに移籍してからも、一年に1回は食事をし、「いつ戻ってくるの? 早く戻ってこいよ」と冗談めかして言ったこともあります。クロはずっとカープのことを気にしていました。毎年のように復帰報道が出る中、復帰を決断する直前の14年冬に食事をしたときは、簡単に「帰ってこいよ」とは言いづらい雰囲気があったのも確かです。


















