中村敬斗〈前編〉中1でやってきた中村は「ミスター貪欲」だった(三菱養和サッカースクール・生方修司)
FW中村敬斗(フランス2部スタッド・ランス/26歳)
3月イングランド戦でMVP級の働きを見せた中村は、第2次森保ジャパン発足後に急成長したアタッカーだ。代表24試合10得点とハイペースでゴールを積み重ね、W杯躍進のキーパーソンという見方も根強い。恩師の生方チーフコーチに教え子の成長と期待を存分に語ってもらった──。
◇ ◇ ◇
──中村は千葉県我孫子市出身ですが、中学から養和に来た経緯は?
「ユースにいた選手が敬斗と近所に住んでいた幼馴染で『面白い小6の子がいて養和に来たがっている』という話を聞きました。当時、そういう紹介はあまり受け付けておらず、セレクションで合格することが条件だったんですが、『身内の選手からの推薦なら見てもいい』と回答し、本人に練習に来てもらいました。
そこで感じたのは『ドリブルとシュートが他の小学生と全然違うな』ということ。足に吸い付くようなドリブルでした。爆発的なスピードはないのですが、独特の感覚というか、足首が柔らかくてスルスルっと抜ける感じで、強烈なインパクトを受けました。体が細くて性格的にも大人しく、真面目でサッカーに一生懸命な印象。『この子は伸びそうだな』と思い、セレクションを受けてもらって加入が決まりました」
──ボールコントロールは頭抜けていましたか?
「はい、彼はボールを蹴らせるとピンポン玉みたいにボールが飛んでいった。芯を捉えるのがうまいからシュートミスが少ないし、その頃からよく点を取っていました。お父さんに話を聞くと、小さい頃から自宅でお母さんにピンポン玉を投げてもらってボレーの練習をしていたそうで、その積み重ねかなと思います」
──とはいえ、中学生が我孫子市から巣鴨に通うのは大変ですね。
「自宅から練習場まで約1時間半。本人は電車の中で勉強したり、動画を見たりしていたようで『全然苦じゃない』とキラキラの笑顔でした。今も『中1の時がサッカー人生で一番楽しかった』と言っていますね。『僕はドリブルやりたいんですけど、大丈夫ですか』とも聞かれたんで、僕は『好きなようにやりな』と返しました。ただ『ボールを取られた時は、しっかり守備をして奪い返しててゴールまで行ってほしい。ウチは全員攻撃全員守備だから、それができなければ試合に出られないよ』とも伝えましたが、本人はすぐにコミットしてくれました」
──当時から守備意識を植え付けていた?
「そうですね。2月7日の(フランス2部)バスティア戦で、自分たちのCKからミスしてボールを取られてカウンターを仕掛けられ、敬斗が猛然と追いかけて自陣ゴール前でスライディングして外に出したシーンがありましたけど『僕らが大事にしていたことを今もやってくれている』と嬉しくなりました。その動画を今の(養和の)ジュニアユースの選手たちに見せたことを伝えた時には凄く喜んでいましたね。守備は、日本代表の森保監督からも強く求められていること。代表に行って『どうだった』と聞くと、『ウブさんと同じこと言われました』と返事が来るので、今に繋がって良かったと思います」


















