「LGBT ヒストリーブック」ジェローム・ポーレン著 北丸雄二訳

公開日: 更新日:

 古代ギリシャ人にとって同性愛は、普通のことで、哲学者ソクラテスやその弟子プラトン、さらにはアレキサンダー大王などの偉人たちもLGBTだったという。

 レオナルド・ダビンチやミケランジェロ、シェークスピアもそうだった。人類の文明の一部は、こうしたLGBTによって築かれてきたのだ。

 一方で、1895年、アイルランドの詩人で劇作家のオスカー・ワイルドは同性愛の罪で裁判にかけられ有罪となり、家族や財産、仕事のすべてを失ってしまう。

 彼は裁判の席で「世界はより寛容になっていく。いつの日か、あなたたちは、私へのこの自分たちの仕打ちを恥じ入るようになるだろう」と予言したが、裁判官たちの心には届かなかった。

 100年以上の歳月は要したが、彼の予言通り、近年、世界はLGBTへの理解を深め、社会制度も変わりつつある。

 本書は、LGBTやそのコミュニティーが、本来は人間に等しく与えられているはずの人権を一つ一つ得ていくための戦いの歴史を記したビジュアルテキスト。

 同性愛を理由にナチスによって強制収容所に送られピンクの逆三角形の印がついた服を着せられた人々、赤狩りと同時期に米国で起こった連邦政府の仕事から同性愛者排除の動き「ラベンダー狩り」、ゲイバーの客らが警察の摘発にやじ馬らも巻き込み抵抗した米国の「ストーンウォール反乱」、世界中のゲイコミュニティーを襲ったエイズ危機、LGBTを巡るさまざまな裁判、そして同性婚の実現まで。有名無名の当事者400人近い人々の物語を紹介しながら、その果てしのない戦いの歴史を描く。

 子供向けだが、大人にも十分な読み応え。悩みを抱える若い世代にぜひ手にして欲しい一書だ。

(サウザンブックス社 2600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松重豊がついに引退を示唆し2代目探しに言及…「孤独のグルメ」井之頭五郎を継ぐ有力候補者の実名続々!

  2. 2

    “激ヤバ”高市チルドレン門寛子議員が大炎上! 国会前ペンライトデモを「ごっこ遊び」と揶揄・嘲笑

  3. 3

    “幼稚さ”露呈した佐々木朗希「報奨金事件」…ド軍日本人スタッフ2名が「7000万円超」もらえず?

  4. 4

    「考える野球」に混乱と苛立ちが続く中、涙が出そうになった野村監督の声かけ

  5. 5

    やはり万博EVバスは現場でも悪評ふんぷんの“いわく付き”だった…販売元が負債57億円で再生法申請

  1. 6

    NHKドラマ10「魯山人のかまど」は早くも名作の予感! 藤竜也は御年84歳、枯れてなお色香漂う名演技

  2. 7

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  3. 8

    巨人・坂本勇人「二軍落ち」のXデー…代打もムリで「そのまま引退」にも現実味

  4. 9

    赤沢経産相“ナフサ不安”の呆れた責任逃れ シンナー不足「目詰まり」「解消済み」に塗装業界は不信感

  5. 10

    楽天は“格安”、12球団監督の年俸はこうして決まる…出来高、日米待遇格差まで丸っと解説