著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

トランプの“算数”では絶対に辿り着けない「五輪五次方程式」

公開日: 更新日:

 トランプの掲げたドンロー主義は19世紀のモンロー主義をもじっているが、究極「西半球における米国の絶対的支配」を主張している。関税戦略では各国にそれぞれの利率を設けた掛け算を使ったので、今度はさらに単純明快、世界を米国と中国のG2で支配する割り算を使った。「西半球は任せろ、東半球は習近平に任せるよ」と。

 トランプ政策に一喜一憂の世界を解説する識者の言が明確でない気がするのは、彼らの理性がトランプの算数を理解できないからではないか。トランプ支持者は統計上、地方に住む「白人」「非知識者層」という特徴があるのも納得できる。彼の政策は分かりやすいだけなのだ。

 スポーツで世界平和を謳うオリンピズムはドンロー主義とは別のベクトルを示す。それはオリンピックシンボル(五輪)が表す五次方程式だ。

 現在の国際情勢を冷静に見れば、トランプの思いとは逆に世界は多元化している。インドと欧州連合(EU)は1月27日に自由貿易協定(FTA)を締結することで最終合意した。これにより、世界GDPの約25%、世界貿易の約3分の1、約20億人規模の巨大な自由貿易圏が誕生することになる。南米4カ国(メルコスール正式加盟国)もこれに先立つこと17日、パートナーシップ協定(EMPA)および暫定貿易協定(iTA)に署名した。また2011年に成立したBRICSは今やインドネシアやUAEなどが加わり、加盟が11カ国となる勢いがある。自由化が促進し、ドル一極支配体制が崩れていく可能性すら見える状況と言える。

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