「さとり世代」原田曜平著

公開日: 更新日:

■若者論

「いまどきの若いヤツらは……」は昔からの決まり文句。それにしてもいまどきの若者たちはわかりにくいのです。

■不幸な国の幸福な若者たちのホンネ座談会

 現代の若者たちは悪評高い「ゆとり教育」を受けた子どもたち。それゆえ「ゆとり世代」の通称は蔑称のニュアンスまで含んできたのも事実だ。しかしそれじゃ若者たちだっていい気分はしない。そこで登場したのが「長期の不況で生まれたときから好景気を知らず、すっかり世の中についてさとった気持ちでいる」という意味合いをこめた「さとり世代」だ。

 起源はネットの掲示板。それを新聞がとりあげて「さとり世代のスポークスマン」と紹介したのが本書の著者。博報堂の「ブランドデザイン若者研究所」のリーダーとして、対若者マーケティングのプロという世評を確立している。

 本書は著者が「現場研究員」と呼ぶ大学生たちのホンネ座談会。さとり世代はバブル期の若者と違って物欲が希薄で小さな幸せに満足する。だが、ツイッターやLINEなどでの仲間づきあいにはひどく敏感で大人には理解不能な面を持つ。これが「不幸な国の幸福な若者たち」などと呼ばれたりもするゆえんだ。それゆえに「企業側がさとり世代に新しいモノを提示できて」おらず、上司も新入社員との接し方に頭を悩ますのである。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?