「座禅ガール」田口ランディ著

公開日: 更新日:

■「女と坐禅」がテーマ最新長編小説

 東日本大震災からちょうど1年後。知人の僧侶の寺でささやかな慰霊祭を催した作家、よう子は、会場ではかなげな美人に出会う。美しい顔は死人のように生気がなく、美貌と猫背の体がひどく不釣り合い。小動物のように怯えている。何かわけがありそうだ。

 田口ランディの最新長編小説のテーマは「女と坐禅」。

 よう子は得体の知れない美人を自宅に連れ帰り、面倒を見るはめになる。だが、りん子と名乗る女は、心を閉ざしたまま。よう子は、そんなりん子を坐禅に誘う。アメリカから女性の禅マスターを招いて、坐禅会を開くことになっていたからだ。

 40代のよう子と30代のりん子。2人の独白が交互に繰り返されて物語は進行し、それぞれに懊悩(おうのう)していることが分かってくる。失恋、コンプレックス、愛する人の死、家族との確執、破れない自分の殻……。

 元キャリアウーマンだったという禅マスター、アイリーンに導かれて2人は座る。しかし、無心とはほど遠く、心は乱れに乱れる。この苦しさの先に、光は見えるのだろうか。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  2. 2

    「備蓄米ブーム」が完全終了…“進次郎効果”も消滅で、店頭では大量の在庫のお寒い現状

  3. 3

    阿部巨人が今オフFA補強で狙うは…“複数年蹴った”中日・柳裕也と、あのオンカジ選手

  4. 4

    さや氏の過去と素顔が次々と…音楽家の夫、同志の女優、参政党シンボルの“裏の顔”

  5. 5

    ドジャース大谷翔平「絶対的な発言力」でMLB球宴どころかオリンピックまで変える勢い

  1. 6

    参政党のあきれるデタラメのゴマカシ連発…本名公表のさや氏も改憲草案ではアウトだった

  2. 7

    参政党「参院選14議席」の衝撃…無関心、自民、れいわから流れた“740万票”のカラクリ

  3. 8

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表「日本人ファースト」どこへ? “小麦忌避”のはずが政治資金でイタリア料理三昧

  5. 10

    ドジャースに激震!大谷翔平の“尻拭い役”まさかの離脱…救援陣の大穴はどれだけ打っても埋まらず