利き酒師・酒ジャーナリスト山同敦子氏に聞く

公開日: 更新日:

「戦後、米が不足していた頃にアルコールを添加し、味をごまかすために水あめなどの糖分や酸味料で味付けした日本酒が造られました。温度管理も悪いので味も劣化し、お燗をするとツンとする、後味はベタベタと甘ったるい……これが日本酒のイメージになってしまったのです」

■バナナやたくあんの香りがする“変わり種”も

 そこで「辛口」を打ち出す銘柄が現れ、1970年ごろにはアルコール添加をしない純米酒、80年代後半になると米を磨く吟醸酒ブームが起きた。
「こういう歴史のなかで、甘口=×、辛口=○、通は辛口を好むという価値観ができてしまいました。でもね、甘くておいしい日本酒もたくさんあるし、香りもいろいろです。バナナやリンゴなどの果物、ヨーグルトやチーズ、たくあんやゆでた大根、はちみつやチョコレートの香りがする日本酒もあるんですよ」

 たとえば栃木県の「大那(だいな)」は透明感があってスッキリ。宮城県の「萩の鶴」はより複雑な味わい。愛媛の「石鎚(いしづち)」はとろりと滑らかで魚に合いそう。

 好きな酒に出合えるコツは「記憶より記録」なんだそうだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった