「天の光」葉室麟氏

公開日: 更新日:

「常識ある人たちから見ると、勝手に奥さんを捨てて京都に上ったおまえが悪いということになる。しかし表現者という人間は何かしら業のようなものを背負っていて、真の表現にたどり着くには地獄をくぐり抜けなければならない。天才的な才があれば変に曲がりくねった道を行かなくてもできるのかもしれないが、才貧しき人間はそうやってのたうち回るしかないですよね」

 清三郎も自分には力がないから踏み迷っていくしかないと自覚する。そして、そのために自分の家族が酷い目に遭ったとしたら、自分の表現行為は一体何だろうということを突きつけられる。

「人は大体凡愚であって過ちを繰り返してしまう。それでもあえて一歩踏み出して一生懸命やるしかなかった人間がいたのだ、と。そうした感慨も込めています」

 著者は来年でデビュー10年を迎える。

「桃栗3年、柿8年、ユズは9年で花が咲く。今年は9年目で一区切り。来年からまた新たなスタートを切っていく感じでしょうか」
(徳間書店 1500円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?