「はい、チーズ」カート・ヴォネガット著、大森望訳

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「タイタンの妖女」や「母なる夜」などの長編で知られる、2007年に逝去したアメリカの人気作家カート・ヴォネガット。

 本書は、彼が1950年代に書いた未発表の短編を集めた「Look at the Birdie」の翻訳本だ。執筆当時、30代だった著者がさまざまな技を尽くして繰り広げた短編は計14編。SFあり、ファンタジーあり、サスペンスあり、人情話ありと、その幅の広さに驚かされる。

 表題作「はい、チーズ」は、バーで出会った正体不明の男から、気に入らない人間を罪に問われずに殺す方法を聞くことになった男の話だ。正体不明の男は元精神科医と名乗り、話の途中で妻を呼んで無理やりその男の写真を撮らせる。男が写真を撮られた意味を悟ったとき、元精神科医の恐ろしい意図が見えてくる構成になっている。全編、突拍子もないアイデアを、あらゆるテクニックを駆使してさらりと仕上げる手腕は見事というしかない。

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