「親子共依存」尾木直樹氏

公開日: 更新日:

 そんな学生でも、以前なら社会で鍛えられてまともな社会人に成長することができた。ところが今は社会が〈ずぶずぶ〉になっている。

「昔だったら子どもを大学に入れた時点で、将来の見通しが立つから親は手を離した。だけど今は社会に委ねることができないから、抱え込みになっている。もうひとつは、3・11以後、やはり家族は一緒に住まなきゃという雰囲気が強くなってきた。だから、1時間半以上かけて実家から通学している学生が多い」

 親子がべったりになる一方で、社会的なつながりや地域のつながりがなくなっている。

「昔はお祭りの時などが男の子にとって性教育の場だったのに、そういう場がなくなった。友達とLINEでつながっていても本当のことは言えないから、相談相手はママになる。今はツールがいっぱいあって世界に発信できるのに、そういうグローバルな目を持たない」

 本書の帯には親子関係が健全かどうかチェックする項目が載っているので、確認してみよう。

「自分たちはおかしくないと思っていても、例えば、アメリカだったらどうか、というグローバルな視点を持てば、おかしいと気づくと思います。これはもう日本が沈没すると恐れて、私が愛国心から書いた本です」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性