「若者はなぜ『決めつける』のか」長山靖生氏

公開日: 更新日:

「どうせ、変わらない」「僕らの世代は損をしている」――。若者のそんなネガティブな言動の背景には、理由があると著者はいう。

「どの世代も、いろいろな“決めつけ”をするものです。なかでも、ゆとり世代のそれはネガティブで、度合いも重いものです。バブルを経験した40代半ばまではダメだといいながらも『もしかすると』という淡い期待が残っている。しかし、不況の中で育ち、バブルが戦争と同じように歴史上の出来事にしか捉えられない若者は、経済も自分たちを取り巻く環境も良くならないことを前提に物事を考えているんです」

 若者を“決めつけ”に走らせた要因には就職難、結局は同意見を反復するだけのネット社会とのつながりなど複数あるが、根底にあるのが世の中に蔓延する「決断主義」だ。01年、小泉政権が誕生。それまでの10年、出口の見えない不景気の中で人々は、待っていれば誰かがどうにかしてくれるだろうという期待をしていたが、何も変わらなかった。

 そこへ小泉が登場し、問題の単純化や二者択一を迫る手法を披露。やがて世の中は、時流に乗せられ、一気に「決断主義」へと進んでいく。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  2. 2

    ソフトB近藤健介の原動力は「打倒 新庄日本ハム」…憂き目にあった2022年の“恩返し”に燃える

  3. 3

    ドジャースが欲しがる投手・大谷翔平の「ケツ拭き要員」…リリーフ陣の負担量はメジャー最悪

  4. 4

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  5. 5

    参政党が消せない“黒歴史”…党員がコメ農家の敵「ジャンボタニシ」拡散、農水省に一喝された過去

  1. 6

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  2. 7

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  3. 8

    藤浪晋太郎に日本復帰報道も、古巣阪神出戻りは「望み薄」…そして急浮上する“まさか”の球団

  4. 9

    巨人・田中将大を復活させる「使い方」…先発ローテの6番目、若手と併用なんてもってのほか

  5. 10

    自民・鶴保失言「運のいいことに地震」で苦戦の二階ジュニアに赤信号…参院選“仁義なき紀州戦争”決着か