著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

素朴な作りの丁寧な仕事

公開日: 更新日:

 さて「グアッシュ」とは上等な「不透明水彩絵の具」。小学校で使う絵の具のプロ仕様版。混色するほど濁る。鮮やかに描くには下地の乾燥を待って塗り重ねる。本書の作品には濁った(彩度の低い)色面が多い。大方が、グレーと茶色+差し色(鮮やかな朱、青、緑……)の構成。製版や印刷的に「色の刷り分け」が難しい罪作りな原稿だ。しかも白地とおぼしき部分に、シアン・マゼンタ・イエローの2~3%の網点が見える。3色掛け合わせの青みがかった淡い灰色。これも印刷時、「色のコロビ」を許さないシビアな設計だ。

 時に、こうした繊細な色面は、原画の色調に合わせ、紙の白さを抑える効果はもちろんのこと、「パリの曇天」へのオマージュと見立てるのだが、さて。(エクリ 3500円+税)

▽みやぎ・あずさ 工作舎アートディレクター。1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。90年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

【連載】見た目で買った面白読本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理