【70年目の終戦記念日】永遠平和は空虚な理念ではなく、課された使命

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「君死に給ふことなかれ」古川薫著

 昭和20年7月末、沖縄戦も終わった後の慶良間諸島沖合で、米駆逐艦キャラハンが特攻機によって沈められた。驚いたことに攻撃したのは布張り複葉の九三式中間練習機、通称「赤トンボ」だったのだ。本書はこの作戦に縁のあった当年90歳の直木賞作家による実録小説。

 戦時中、軍事動員で赤トンボの増産に駆り出された深田隆平少年。作家自身の分身とおぼしい彼が機体に武運長久を祈る言葉を書きつけたところ、この機体で特攻におもむくという航空兵M・Kからの手紙を受け取る。それから数十年。よわいを経て作家となった隆平はM・Kの消息を求めて台湾、沖縄諸島へとおもむき、川平誠少尉の存在へと行き当たる。絶望的な戦況の中で策定された無謀な特攻作戦。若者たちはだまって運命に従い、散華していった。茫漠たる悪夢のような戦争の記憶。まことに彼らは死ぬ必要などなかったのだと説く痛憤の小説。(幻冬舎 1600円+税)

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