「慰安婦問題をこれで終わらせる。」松竹伸幸著

公開日: 更新日:

 右派と左派が対立したまま、韓国側からも強い主張が繰り返され、解決の道筋が全く見えない慰安婦問題。いまや外交上も安全保障上も日韓関係を揺るがすトゲのような存在となっている。この硬直した状況から抜け出し、着地点を見つけるためには何が必要なのか。本書は、慰安婦問題の本質を整理した上で導き出される「リアルな解決法」を探った提案の書だ。

 かつて共産党で安全保障と外交を担当する安保外交部長を務めた経歴を持つ著者は、右派にも左派にも良識派が存在し、対立軸は固定的でも絶対的でもないことを示しながら、理念だけに拘泥しない右派的ともいえる現実的なアプローチを左派が行うことによって韓国との関係改善の道が開けると説く。

 同胞からのバッシング覚悟で日本との和解を呼びかけた韓国人教授の本「和解のために」に刺激を受け、日本人も日本人に向けて同様のことをやらねばと決意して本書を書いたという決意の強さが伝わってくる。(小学館 1500円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理