公開日: 更新日:

「飛び猫」五十嵐健太著

 猫の肉球や丸まって眠る姿だけを集めたものなど、猫の写真集はバラエティーに富んだものが多いが、本書はとくにユニークな“猫が飛ぶ瞬間”をとらえた写真集。日本各地の離島で暮らす猫たちの、船から船へ、防波堤から防波堤へとジャンプする姿が切り取られている。

 猫が空中を飛んでいる時間は非常に短く動きも速く、しかもいつ飛ぶかは猫本人にしか分からない。ピントを合わせてブレないように撮影するには、とてつもない根気がいるはずだ。しかしその甲斐あって、まるで猫たちが空中でストップしているかのような不思議な写真に仕上がっている。

 冬の青空をバックに防波堤を飛び移っていくキジトラ模様の猫は、キリリとした表情が印象的。後ろで眠そうに見守る茶トラ2匹との対比が面白い。

 夕暮れ時、船から桟橋へ向かう茶シロの猫は、凪いだ水面にジャンプする姿が映り、逆さ富士ならぬ“逆さ猫”のようだ。猫の新たな魅力が発見できること間違いない。(KADOKAWA 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは