公開日: 更新日:

「100万分の1回のねこ」谷川俊太郎、山田詠美、江國香織他著

 1977年に発表された佐野洋子著の絵本「100万回生きたねこ」。誰にも心を開かずに輪廻転生を繰り返してきた一匹の猫が、恋をして家族を持つことで、初めて悲しみを知るという物語だ。

 200万部以上を売り上げ、世代を超えて愛されてきたこの大ベストセラーは、作家にもファンが多い。本書では、13人の作家が「100万回生きたねこ」をテーマに独自の世界観で短編を寄せている。

 直木賞作家の江國香織が書くのは、「生きる気まんまんだった女の子の話」。幼い頃に両親を亡くし、何が何でも長生きしたかった女の子は、「100万回生きたねこ」を読み、人を好きにならないことを心に決める。

 大人になった彼女は結婚するが、相手に選んだのは“絶対に好きにならないと思う男”。やがて夫婦は年を取り、好きだと思ったこともない夫に先立たれたとき、彼女は……。

 短編集の最後は、佐野洋子の元夫で詩人の谷川俊太郎が、優しく温かな物語で締めくくっている。(講談社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然