家族の崩壊と愛情が描かれている極上ミステリー

公開日: 更新日:

 国際的なネットワークを持つイギリス人のレコード収集家がグドロイグルに接触している。ボーイソプラノのレコード収集家の間では、グドロイグルのレコードは希少価値があり高値が付いているからだ。いったい誰がどのような動機で、社会の片隅で生きている忘れ去られた男を殺したのか。ミステリー小説としても、手に汗を握る内容になっている。「声」は、〈父と娘はホテルを出た。エーレンデュルはその美しい賛美歌をグドロイグルのソプラノといっしょに心の中で歌い、ふたたび望郷の思いに深く引き込まれた。/おお、父よ、この短い人生にわずかでも光を与えたまえ……。〉という言葉で結ばれている。

 この作品で描かれる家族のほとんどが崩壊している。しかし、いくら憎み合っても、家族の愛情は最後まで残るのだということが行間から伝わってくる。インドリダソンの小説が、ヨーロッパで広く受け入れられている理由は、家族の絆に人間救済の可能性があることを伝えているからだ。★★★(選者・佐藤優)

【連載】週末オススメ本ミシュラン

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    嶋基宏は一時期ノイローゼ状態になっていた...心ここにあらずで、魂が抜けた状態に

  4. 4

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  5. 5

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  1. 6

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  2. 7

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 8

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 9

    居酒屋倒産が過去最多ペース 客離れの背景にある「飲み放題5000円」の壁

  5. 10

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に