「堕ちられない『私』」香山リカ著

公開日: 更新日:

 精神科医である著者の診療室に救いを求めてやってくる人たちには、共通して「決定的に欠けているもの」があるという。それは「堕ちる力」だそうだ。上昇志向を絶対的な善とする世の中の価値観が強大化し、自分を叱咤激励し続けた結果、ついに壊れてしまった人たちだ。彼らは、「何もしない、何も考えない」「ダラダラ、グズグズして過ごす」のがとっても苦手。しかし、人は上昇するよりも堕ちることで、人間らしい生き方を回復できると著者は説く。

「停滞これ即、衰退」と仕事を持ちながら夜間の大学院に通い、土日は資格試験の学校にも通う自己啓発が趣味の女性ら、患者のエピソードを紹介しながらつづる「新・堕落論」。(文藝春秋 750円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  2. 2

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 3

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  1. 6

    「まつもtoなかい」長渕剛"神回"が話題に…「仕事と愛どっち取る?」の恋愛トーク!

  2. 7

    生島ヒロシ降板騒動は起こるべくして起きた!コンプラ違反が当たり前…大物司会者のヤバイ言動の数々

  3. 8

    ソフトバンク上沢直之への“取材NG”で雑音封印の配慮…昨季の山川穂高と同様、個別取材すべて却下

  4. 9

    香取慎吾は「三重苦」を克服できるか? 主演ドラマ不発の原因は「不肖の兄」「反フジテレビ」と…

  5. 10

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”