「何かのためではない、特別なこと」平川克美著

公開日: 更新日:

 映画監督・成瀬巳喜男が、戦後まもない日本を描いた「浮雲」を見ていたら、戦後の街並みの風景に見覚えがあった。だが、それは昭和20、21年ごろの風景で、25年生まれの著者が見ているはずはない。それなのに既視感があるのはどういうことだろう。それは親たちの体に残る戦争の記憶、「死と隣り合わせの飢餓や恐怖」が、戦争を知らない著者の体の中に記憶されたということなのか。

 親の世代が次の世代に教えようとしたのは、何が何でも「生き延びよ」ということだったと、著者は思う。還暦を過ぎて、進歩や成長といった青年期特有の思考から初めて見えてきたことをつづったエッセー。(平凡社1500円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    箱根駅伝中継所ドクターは全員が順大医学部OB…なぜか協力しない大学がウジャウジャ

  2. 2

    青学大駅伝選手 皆渡星七さんの命を奪った「悪性リンパ腫」とはどんな病なのか?

  3. 3

    統一教会「自民290議員支援」で黒い癒着再燃!ゴマかす高市首相をも直撃する韓国発の“紙爆弾”

  4. 4

    「インチキ男 ジャンボ尾崎 世界の笑い物」マスターズで不正しても予選落ち(1994年)

  5. 5

    萬福(神奈川・横浜)異彩を放つカレー焼麺。常連の要望を形にした強めのとろみ

  1. 6

    浜辺美波 永瀬廉との“お泊りデート”報道追い風にCM契約アップ

  2. 7

    神田沙也加さん「自裁」の動機と遺書…恋人との確執、愛犬の死、母との断絶

  3. 8

    長澤まさみ「結婚しない女優」説を覆したサプライズ婚の舞台裏… 福永壮志監督と結びつけたのは?

  4. 9

    スライム乳の小向美奈子はストリッパー歴12年 逮捕3回経て

  5. 10

    悠仁さま初の新年一般参賀 20年後「隣に立つ皇族」は誰か? 皇室に訪れる晩婚・少子化の波