「商い同心 千客万来事件帖」梶よう子著

公開日: 更新日:

 北町奉行所同心の神人は、名主との宴席の帰り道、提灯の明かりに引き寄せられ、家で待つ妹の忘れ形見・多代への土産にいなりずし屋に立ち寄る。店の主人は顔のやけど痕を隠すためと、キツネの面をかぶっていた。

 市中にあふれる品物の値の観察や、出版物を取り締まる諸色調掛の神人は、相場よりも安いいなりの値段に驚くが、薄利多売を狙う主人の話に納得する。翌日、味噌醤油問屋川津屋の主人から、隠居した父親が小間物屋から偽のべっ甲の櫛を10両の大金で買わされたと相談事が持ち込まれる。その矢先、別宅で暮らす川津屋の隠居が遺体で見つかる。

 人情や思惑がからみあい、品物の値段から事件の謎を解く新感覚時代小説。(実業之日本社 620円+税)


【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー