「おしょりん」藤岡陽子著

公開日: 更新日:

 明治33(1900)年4月、麻生津村の庄屋・五左衛門が経営する羽二重工場は、火事で取引先の機織り業者を失い倒産してしまう。工場は五左衛門が、弟の幸八の助言を受け、村に産業を興すために2年前に建設したばかりだった。4年後、大阪に出稼ぎに出ていた幸八が、今度は眼鏡の枠づくりを持ち掛けてくるが、五左衛門は聞く耳を持たない。村には眼鏡をかけている人などおらず、需要があるとは思えないのだ。

 しかし、幸八はこれから本や新聞を読む人が増え、眼鏡が爆発的に普及すると1年がかりで兄を説得。明治38年、村人たちが反対する中、2人は工場を立ち上げる。

 今に続く福井県の眼鏡産業の基礎を築いた兄弟を主人公にした評伝小説。(ポプラ社 1600円+税)



【連載】BOOKレビュー

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず