「千駄木の漱石」森まゆみ著

公開日: 更新日:

 文豪・夏目漱石は、明治36年春からの4年足らずを千駄木で暮らした。その間、英語教師として教壇に立ちながら、「吾輩は猫である」「坊っちゃん」など数々の名作を執筆した。当時の漱石の暮らしぶりを紹介しながら、千駄木の歴史をつづる地域史エッセー。

 英国留学から帰国し、東京帝国大学の英語講師の内定を受けた漱石は、勤務先に近い千駄木の借家に居を定める。その家は、10年前まで森鴎外が弟たちと暮らした家だった。漱石は千駄木の家を評し「偏鄙にて何の風情もこれなく」と友人への手紙に書き残している。

 書簡や作品などを読み解きながら、そうした当時の千駄木の様子や借家事情をはじめ、食いしん坊だった漱石の食生活など、文豪の素顔に迫る。(筑摩書房 800円+税)


【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    世良公則氏やラサール石井氏らが“古希目前”で参院選出馬のナゼ…カネと名誉よりも大きな「ある理由」

  2. 2

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  3. 3

    浜田省吾が吉田拓郎のバックバンド時代にやらかしたシンバル転倒事件

  4. 4

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  5. 5

    「いま本当にすごい子役」2位 小林麻央×市川団十郎白猿の愛娘・堀越麗禾“本格女優”のポテンシャル

  1. 6

    幼稚舎ではなく中等部から慶応に入った芦田愛菜の賢すぎる選択…「マルモ」で多忙だった小学生時代

  2. 7

    「徹子の部屋」「オールナイトニッポン」に出演…三笠宮家の彬子女王が皇室史を変えたワケ

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    新横綱・大の里の筆頭対抗馬は“あの力士”…過去戦績は6勝2敗、幕内の土俵で唯一勝ち越し

  5. 10

    フジテレビ系「不思議体験ファイル」で7月5日大災難説“あおり過ぎ”で視聴者から苦情殺到