「庖丁ざむらい十時半睡事件帖」白石一郎著

公開日: 更新日:

 福岡黒田藩の要職を歴任してきた十時は、隠居して半睡と名乗る。半分眠って暮らすというシャレだ。しかし、2年前に再出仕を命じられ、総目付に返り咲いた。

 ある日、半睡は息子・弥七郎の江戸土産の鐔(つば)を愛用の刀(差し料)に用いようと、刀剣商の古仙堂に相談を持ち掛ける。尾州信家の鐔は古仙堂も目を見張る逸品だが、絵柄が狛犬(こまいぬ)なので差し料には向かないという。犬侍を連想させるからだ。

 古仙堂は、弥七郎が8両で買った鐔を30両で買い取りたいと言い出す。半睡は断るが、古仙堂から話を聞きつけた御使番の久世や御小姓頭の馬杉らが次々と鐔を譲って欲しいと訪ねてくる。(「鴨と蛤は漁師がとる」)

 藩士の持ち込む相談事を半睡が裁く時代連作集。(講談社 780円+税)


【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」