• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「娘と嫁と孫とわたし」藤堂志津子著

 タイトルは軽いが、中身は濃い。家族小説をお好きな読者に、自信をもってすすめる傑作小説だ。

 帯の惹句がうまい。「いじのわる~い、しかもケチな実の娘」「血のつながりはないけど、けなげでやさしい息子の嫁」「これからずっと、一緒に生活するなら、どっちが幸せ?」とくるのだ。こういう内容で、作者が藤堂志津子なら、これだけで読みたくなる。もちろんこれは帯コピーのためにわかりやすくしただけで、藤堂志津子の小説であるから、実際はそう単純ではない。いじわるでケチな実の娘にもいいところはあり、けなげでやさしい息子の嫁にもいじわるなところはある。

 そういうふうに人間は複雑で、その微妙な奥行きの深さを本書は鮮やかに描いている。

 それにもうひとつ、女性を中心にした小説によくある展開だが、登場する男どもがろくでもないやつばかり。45歳で独身の秋生という結構いい男も出てくるけれど、これは例外で、だいたいダメ男が多い。男どもがこのように頼りにならないから、女性陣が頑張らなくてはならないという構造が、この手の小説の特徴だが、藤堂志津子の本書も例外ではない。

 だから小説の評価を離れて言えば、男性読者としては、複雑な気持ちになる。ここにあるのは母や妻や娘の言い分で、男にも男の言い分があるはずなのに、おまえたちがだらしがないからこんなことを言われるのだ、と言いたくなってくるのである。(集英社 500円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    沖縄県知事選で“黒歴史”隠し 佐喜真候補にもう一つの疑惑

  2. 2

    正反対キャラを演じきる 佐藤健“視聴率40%男”の存在感

  3. 3

    “元彼”と同時引退? 幻に消えた安室奈美恵の「再婚」報道

  4. 4

    花田家は崩壊寸前…貴乃花親方は協会批判し妻は見舞い拒否

  5. 5

    焼肉通いは序章…星野源が狙われる新垣結衣との要塞デート

  6. 6

    追悼・樹木希林さん 貫いた“奇妙な夫婦愛”と“ドケチ伝説”

  7. 7

    二宮和也はジャニーズの“条件”拒み…伊藤綾子と来年結婚か

  8. 8

    安倍自民がブチあげ「省庁再々編」は国民ダマしの常套手段

  9. 9

    安倍首相が総裁選で獲得 地方票「55%」の怪しいカラクリ

  10. 10

    吉澤ひとみの逮捕で…「元モー娘。」相次ぐ謝罪の違和感

もっと見る