「晴れの日には 藍千堂菓子噺」田牧大和著

公開日: 更新日:

 ある日、神田相生町の菓子屋「藍千堂」に入ってきた男が、主の晴太郎や店を仕切る弟の幸次郎を前にいちゃもんをつけ始める。男は藍千堂の菓子職人・茂市の顔なじみの足袋職人・九助だった。事情を知らない九助は、顔見知りの茂市が若い2人に使われているのが面白くないようだ。

 九助は法事の引き菓子を晴太郎ではなく茂市に作ってほしいと依頼して店を出ていく。茂市によると九助は6年前に息子を亡くしてから人が変わってしまったという。同心の岡によると、九助は自分が息子を殺してしまったと責任を感じているらしい。(「羊羹比べ-人日」)

 菓子作りに命を懸ける兄と商才にたけた弟が季節の和菓子とともに織りなす江戸人情小説。(文藝春秋 1500円+税)


【連載】BOOKレビュー

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?