「晴れの日には 藍千堂菓子噺」田牧大和著

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 ある日、神田相生町の菓子屋「藍千堂」に入ってきた男が、主の晴太郎や店を仕切る弟の幸次郎を前にいちゃもんをつけ始める。男は藍千堂の菓子職人・茂市の顔なじみの足袋職人・九助だった。事情を知らない九助は、顔見知りの茂市が若い2人に使われているのが面白くないようだ。

 九助は法事の引き菓子を晴太郎ではなく茂市に作ってほしいと依頼して店を出ていく。茂市によると九助は6年前に息子を亡くしてから人が変わってしまったという。同心の岡によると、九助は自分が息子を殺してしまったと責任を感じているらしい。(「羊羹比べ-人日」)

 菓子作りに命を懸ける兄と商才にたけた弟が季節の和菓子とともに織りなす江戸人情小説。(文藝春秋 1500円+税)


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