「隙間風 素浪人稼業」藤井邦夫著
寝坊して日雇い仕事にあぶれた平八郎は、往来で浪人ともめていた老人・弥平を助ける。謝礼代わりに朝飯をごちそうになり別れると、弥平が自分を尾行していることに気づく。尾行をまいて、逆に後をつけてみると、弥平は小さな骨董屋の主だと分かる。
夕方、偶然を装い、声をかけてみると、弥平は平八郎に頼みたいことがあると言い出す。実は弥平は「隙間風の弥平」と呼ばれる盗人だった。弥平は、押し込み先で容赦なく殺しを働く同業の盗賊「不動の政五郎」一味が許せず、彼らの仕事を阻止して、お上に捕まえさせるつもりだという。平八郎は、助っ人として弥平と行動を共にする。(表題作)
神道無念流の達人・平八郎の腕が冴える時代人情シリーズ最新刊。(祥伝社 650円+税)