「最果ての街」西村健著

公開日: 更新日:

 最果ての街とは、東京のドヤ街がある通称「山谷」地区のこと。

 ある日、山谷堀公園でホームレスの殺人事件が起こった。被害者は山谷地区にいた日雇い労働者で、職安の登録から名前だけはわかった。だが、身元がわからず、遺族が現れなければ無縁仏として葬られるしかない。警察は本気で身元捜査をする気配もないのだ。

 かつて、自らの不誠実で山谷の住人たちに不幸を生んでしまった負い目を持つ主人公の深恒宣泰・山谷労働出張所所長は、自力ででも被害者の親族を探し出そうと決心した。そして、ついに被害者の出身地と意外な過去が明らかにされていく。

 2014年に大藪春彦賞を受賞している著者が、現代の根なし草が最後に行きつく場所の人間ドラマを描いた社会派長編ミステリー。(角川春樹事務所 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは