「絢爛たる奔流」岩井三四二著

公開日: 更新日:

 京の三長者のひとりに数えられた角倉家の分家に生まれた了以が、新しい仕事を始めると言う。なぜそんなことをするのかと息子に問われて「五十にして天命を知った」と答えた。丹波の米を京の市場で売れば高く売れる。米を運ぶために大堰川を船で行き来できるようにして船賃を取ろうと考え、大久保石見守に願い出た。約5000両かかる費用を4年で返済し、その後は利益が出ると踏んだ。だが、船で川を下ることはできても、上りは船に綱を付け、人が引いて上らなくてはならない。そのためには川岸の岸壁に綱道をつくる必要があった。

 クレーンもショベルカーもない時代に、富士川や高瀬川の開削に挑んだ男を描く時代小説。

(講談社 1750円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  2. 2

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  3. 3

    ドジャース大谷翔平がついに“不調”を吐露…疲労のせい?4度目の登板で見えた進化と課題

  4. 4

    清原果耶「初恋DOGs」にファン失望気味も…《低視聴率女王》待ったなしとは言い切れないウラ事情

  5. 5

    会議室で拍手が沸き起こったほどの良曲は売れなかった

  1. 6

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  2. 7

    兵庫は参院選でまた大混乱! 泉房穂氏が強いられる“ステルス戦”の背景にN党・立花氏らによる執拗な嫌がらせ

  3. 8

    極めて由々しき事案に心が痛い…メーカーとの契約にも“アスリートファースト”必要です

  4. 9

    遠野なぎこさんか? 都内マンションで遺体見つかる 腐乱激しく身元確認のためDNA鑑定へ

  5. 10

    新横綱大の里が直面する「遠方への出稽古慣れ」…車での長距離移動は避けて通れない試練に