「図説 和菓子の歴史」青木直己著
日本の文化と伝統が凝縮した和菓子の歴史をたどるテキスト。
かつて菓子といえば果物や木の実のことだった。やがて、米や麦などの穀物を材料として菓子の原形といえる餅や団子が作られるようになった。7世紀、唐菓子の影響を受け、この原初的な形態に変化が表れ、和菓子の大成へと向かう。さらに鎌倉・室町時代に中国から点心がもたらされ、現在の羊羹(ようかん)や饅頭(まんじゅう)のもととなり、戦国時代にヨーロッパ諸国とつながると、砂糖を大量に使うカステラや金平糖などが作られるようになった。そして江戸時代の鎖国体制の中、和菓子は日本の独自の嗜好品として完成していったという。儀礼や茶の湯など和菓子の文化的側面にもスポットを当てながら、その歴史を俯瞰(ふかん)する。
(筑摩書房 1200円+税)