「ドビュッシーはワインを美味にするか?」ジョン・パウエル著 濱野大道訳

公開日: 更新日:

 モーツァルトの曲を聴くとIQが高くなる、楽器を習うと頭がよくなる――本書は、そうした説も含めて、音楽と人間心理に関する多種多様な研究結果をもとに、音楽が人間に与える影響を多面的に解説したもの。

 音楽の種類が客の購買行動に与える実験において、ワイン陳列棚のBGMとしてポップスとクラシックを流した。すると、クラシックが流れているときの購入価格はポップスに比して3倍以上だった。またシドニー市は、駐車場などでたむろする不良たちを追い払うのに、バリー・マニロウの曲を大音量で聴かせるという奇策を打った(マニロウの曲は“ダサい”とされていた)。

 そのほか、音楽と感情の関係、うつや吃音、睡眠障害などに対する音楽療法、映画音楽が観客に与える影響等々、幅広い視野から論じられている。そして、なぜ人類は音楽を愛するのかという、根源的な問いへと迫る。

 英国人らしいユーモアあふれる筆致は読んでいて楽しい。音楽理論を平易に解説した巻末の「やっかいな詳細」も便利。

(早川書房 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 2

    清原和博氏が巨人主催イベントに出演決定も…盟友・桑田真澄は球団と冷戦突入で「KK復活」は幻に

  3. 3

    巨人今オフ大補強の本命はソフトB有原航平 オーナー「先発、外野手、クリーンアップ打てる外野手」発言の裏で虎視眈々

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  2. 7

    高市首相のいらん答弁で中国の怒りエスカレート…トンデモ政権が農水産業生産者と庶民を“見殺し”に

  3. 8

    ナイツ塙が創価学会YouTube登場で話題…氷川きよしや鈴木奈々、加藤綾菜も信仰オープンの背景

  4. 9

    高市首相の台湾有事めぐる国会答弁引き出した立憲議員を“悪玉”にする陰謀論のトンチンカン

  5. 10

    今田美桜「3億円トラブル」報道と11.24スペシャルイベント延期の“点と線”…体調不良説が再燃するウラ