「動物たちの内なる生活」ペーター・ヴォールレーベン著、本田雅也訳

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 人の暮らしのそばに存在しながら、その内面世界については全く知られていない動物たち。彼らの心の中では、いったい何がおきているのか。本書は、森林管理官としてさまざまな動物たちと接してきた著者が、その興味深い世界を丹念に描き出したネーチャーノンフィクションだ。

 たとえば、動物は嘘がつけるかというテーマでは、著者の飼う雄鶏が登場する。彼は2匹の雌鶏と一緒に暮らしていて、おいしいエサを見つけると特別な抑揚でメスを呼び、メスに先にエサを譲ることもあるという。ところが時にはエサもないのにメスを呼び、やってきたメスをだまして交尾をするというエピソードを紹介している。

 他にも浮気防止のために警戒音で鳴くツバメ、つがいのメスが見ていないときには縄張り争いをやめて浮気に走るカササギも登場。全世界で100万部を突破した前作「樹木たちの知られざる生活」に続き、動物の心の世界をみずみずしく描いた本作も世界各国で翻訳されている。

(早川書房 1600円+税)

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