「動物たちの内なる生活」ペーター・ヴォールレーベン著、本田雅也訳

公開日: 更新日:

 人の暮らしのそばに存在しながら、その内面世界については全く知られていない動物たち。彼らの心の中では、いったい何がおきているのか。本書は、森林管理官としてさまざまな動物たちと接してきた著者が、その興味深い世界を丹念に描き出したネーチャーノンフィクションだ。

 たとえば、動物は嘘がつけるかというテーマでは、著者の飼う雄鶏が登場する。彼は2匹の雌鶏と一緒に暮らしていて、おいしいエサを見つけると特別な抑揚でメスを呼び、メスに先にエサを譲ることもあるという。ところが時にはエサもないのにメスを呼び、やってきたメスをだまして交尾をするというエピソードを紹介している。

 他にも浮気防止のために警戒音で鳴くツバメ、つがいのメスが見ていないときには縄張り争いをやめて浮気に走るカササギも登場。全世界で100万部を突破した前作「樹木たちの知られざる生活」に続き、動物の心の世界をみずみずしく描いた本作も世界各国で翻訳されている。

(早川書房 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘