「破蕾」冲方丁著

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 南町奉行の内与力である岡田家に嫁いだお咲は、金子の工面ができない岡田家の一族のために、商家の娘たちに礼儀作法や三味線などを教えて家計の足しにする暮らしを送っていた。

 そんなある日、叔父と夫に代わって役人たちに弁当の差し入れをするように頼まれ、旗本の屋敷を訪れる。

 しかし、そこで待ち受けていたのは、夫の殺害を企てて牢にとらわれた高貴な血筋の女の身代わりになって、市中引き回しの刑を受けるという恐ろしい話。

 身代わりになることで岡田家が大金を得ることになると知り覚悟を決めたものの、そこで体験したのはお咲の理性を打ち砕くような屈辱と快楽の世界だった。(「咲乱れ引廻しの花道」)

「マルドゥック」シリーズなどのSF小説から「天地明察」などの歴史小説まで、幅広いジャンルで活躍する著者の初めての時代官能小説。「香華灯明、地獄の道連れ」「別式女、追腹始末」も収録。江戸の女が醸し出す、妖艶な色香を描いている。

 (講談社 1650円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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