「赤い風」梶よう子著

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 時は、徳川綱吉の治世。川越藩領内には、牛馬の飼料や堆肥を作るための草を採取する「まぐさば」と呼ばれる土地があった。周辺には、川越藩領や幕府直轄領、旗本の知行地、小さな領と呼ばれる区域が入り組み、境界線さえ定かでない上に、野銭を払って採取や伐採をするという決まりがあった。

 こうした背景のなか、村同士の争いが長く続き、ついに死者が出るはめに。そんな折、川越藩主となった柳沢吉保は、水も引けないその荒地を「2年で畑地にせよ」という不可能とも思える命を出す。

 果たして、その狙いとは……。

 本書は、現在埼玉県の指定旧跡になっている「三富新田」が農耕に適した肥沃な土地に生まれ変わるまでの苦闘を描いた歴史小説。2017年に埼玉新聞に連載され、加筆修正の上まとめられた。川越に送り込まれた荻生徂徠のもと、自宅と雑木林と耕作地を配置した細長い短冊上の区画内に農民が入植し、土地を作り変えていく姿が描かれている。

 (文藝春秋 1800円+税)

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