オリンピック選手村マンションは買いか?

公開日: 更新日:

 そのマンションを購入するのは、損か得か。たとえ永住するつもりでも、いつなんどき売却の必要が出てくるか分からない。だからこそマンション選びは難しく、眺望や安さなどの単純な理由で衝動買いすることは絶対に避けなければならない。

 三井健太著「マンション大全」(朝日新聞出版 1800円+税)では、分譲マンション大手で開発から設計、営業に至るまですべての実務を経験してきたこの道30年の住宅アドバイザーが、損をしないマンション選びの秘訣を徹底解説している。

 マンション購入を考えている人にとって、一番ホットな話題が2020年の東京オリンピック選手村マンションだろう。選手村の建物は大会後に改装され、マンションとして一般に販売される。モデルルームオープンと発売開始は、今年5月の予定だ。中央区晴海という立地から、眺望は抜群。広大な緑地もあり、新たに小中学校も建設される予定だという。

 特筆すべきは、坪単価270万~280万円という破格の安さで販売される予定だということ。これなら断然“買い”だと思うだろう。しかし、マンションの価値は立地で決まる比重が高い。選手村マンションの場合、通勤の足はBRT(バス高速輸送システム)のみ。都営大江戸線の勝どき駅が最寄り駅となるが、もっとも近い棟からは徒歩17分。もっとも遠い棟だと22分もかかり、徒歩圏とは言い難い。都心への直線距離は非常に近いが、足がない以上、陸の孤島と言うほかないと本書。

 他にも、資産価値を下げてしまうリノベーションや、実は割高なコンパクトマンションの実態なども紹介。これを読まずしてマンションは買うべからずだ。



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?