「落梅の賦」武川佑著

公開日: 更新日:

 元亀元年(1570年)。伊勢国の元武士で僧侶の清安は、現世を離れるため、極楽浄土を目指す補陀落船に乗り込む。ところが死に損ない、少彦と名乗る男に海で拾われる。男は武田信玄の腹違いの弟・信友であった。

 信友に潮目を読む力を買われ、興国寺城攻めに参戦することになった清安は一族衆筆頭の穴山信君(梅雪)らと共に船に乗り込み、北条方の水軍を退けることに成功する。その清安に織田の間諜が近づき「武田に関する噂を集めよ」と言って、かわらけを手渡す。

 一方、信君は興国寺城攻めの戦勝の酒宴を催すが訪れたのは信友だけ。酒を酌み交わしていると、信友が懐から4分の1ほど割れた杯を取り出した。それは信君の弟の形見であるかわらけの破片とぴたりと合い、「義信 殺すべし――」の文字が読み取れた。

 圧倒的な強さを誇った武田を裏切った2人の男を描く歴史長編小説。

 (講談社 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…