「人生にとって挫折とは何か」下重暁子著

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 人生に挫折はつきもの。挫折してこそ自身の弱さも他人の痛みも分かるようになる。自らも何度も挫折を味わったという著者が、その人生哲学を明かす生き方エッセー。

 何度も試練に襲われながら、そのたびに頂点に返り咲くフィギュアスケートの羽生選手を例に、挫折とは何かを考察。彼は極上の孤独を知るナルシシストだと著者は言う。好きな自分であり続けることは、この上なくしんどいことで、それを自分に課し、つらくとも成し遂げるからだ。彼は正面から挫折と向き合い、そこから逃げず、そんな自分を慈しむことができるからこそ進化を続けられるのだと。

 元競輪選手の中野浩一氏や急性骨髄性白血病から生還した知人などへのインタビューを交え、挫折を人生の彩りへと昇華させる生き方を説く。

 (集英社 780円+税)

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