「ただいま神様当番」青山美智子著

公開日: 更新日:

 水原咲良は、いつだって楽しいことは自分の目の前を素通りしていくと思っていた。出勤時、いつものバス停の台にCDジャケットの落とし物があった。欲しかったキュービックのニューアルバム初回限定盤だ。ラッキー! 翌朝、腕に「神様当番」という文字が書かれているのに気がついた。背後で見知らぬお爺さんが「お当番さん、みーつけた ワシを楽しませて?」と言い、小さくなって咲良の左の手のひらに入り込んだ。

 翌日、バスでひとつだけ空いていた優先席におじさんが座った。次のバス停で妊婦が乗ってきた時、咲良の左手がおじさんの腕を掴んで、席から引きずりおろした。〈一番 水原咲良〉

 欲しいものと引き換えに「神様当番」になってしまった5人の物語。神様に振り回されるうち、自分を見つめなおす登場人物たちの姿に心が温まる。

(宝島社 1480円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  2. 2

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  3. 3

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 8

    日本にむしろ逆風…卓球王国中国で相次ぐトップ選手の世界ランキング離脱と進む世代交代

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり