「怪しくて妖しくて」阿刀田高著

公開日: 更新日:

 ある日、仕事で松本に出掛けた「私」は、あずさ号で帰路に就く。甲府から乗車してきたすてきな帽子をかぶった女性客が隣席に座った。事故で電車が止まり、私は彼女を誘い私鉄に乗り換える。彼女は、私が持っていたチラシに興味を示し、一緒に古い映画の上映会に出掛けることになった。

 小泉八雲の怪談を原作にしたそのオムニバス映画を見た後も、私から誘って佐藤洋子と名乗った彼女と何度かコーヒーや食事をともにする。洋子は私生活についてあまり話さないが、自宅で帽子を作っていると話し、いつも帽子をかぶっている。しかし、ある日を境に洋子と全く連絡が取れなくなってしまった。私は少ない情報をもとに彼女の行方を追う。(「黒髪奇談」)

 短編の名手によるミステリアスな12編。

(集英社 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 2

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  3. 3

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  1. 6

    半世紀前のこの国で夢のような音楽が本当につくられていた

  2. 7

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 8

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 9

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情