株式アナリスト櫻井英明氏「株式は難しくない」

公開日: 更新日:

「兜町物語」清水一行著
(角川文庫)


 証券取引所に場立ち(立会場)があったころ、兜町は熱気に満ちていた。場立ちにいる証券マンは手のサインで売買注文を出す。兜町界隈の喫茶店は早朝からにぎわい、昼休みの食堂は人だかり。

 そんな時代を切り取ったかのような「兜町物語」は読み応えたっぷりだ。証券に人生をかけたサラリーマン。人間がうごめく世界。AIやIoT、DXなどが市場を支配する現在とは異なった時代背景を感じる。

 この小説を読めば、アルファベットやカタカナのオンパレードとなっている株式の世界は、しょせん、人間が関わり、動かし続けていると理解できる。

 株式は危険じゃないか、株式用語は難しくてよく分からないと、投資に二の足を踏んでいる人は本書にふれれば、「何だ、意外と簡単じゃないか」とハードルが下がると思う。

 米ウォール街の実情を知るにはマイケル・ルイスの「ライアーズ・ポーカー」(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)がオススメ。魑魅魍魎の世界を味わえる。

【連載】経済のプロが勧める 絶対投資に勝つ本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    落合博満さんと初キャンプでまさかの相部屋、すこぶる憂鬱だった1カ月間の一部始終

  2. 2

    “芸能界のドン”逝去で変わりゆく業界勢力図…取り巻きや御用マスコミが消えた後に現れるモノ

  3. 3

    渡辺謙63歳で「ケイダッシュ」退社→独り立ちの背景と21歳年下女性との再々婚

  4. 4

    参政党は言行一致の政党だった!「多夫多妻」の提唱通り、党内は不倫やら略奪婚が花盛り

  5. 5

    悠仁さま「友人とガスト」でリア充の一方…警備の心配とお妃候補との出会いへのプレッシャー

  1. 6

    伊東市長「続投表明」で大炎上!そして学歴詐称疑惑は「カイロ大卒」の小池都知事にも“飛び火”

  2. 7

    大阪万博は鉄道もバスも激混みでウンザリ…会場の夢洲から安治川口駅まで、8キロを歩いてみた

  3. 8

    早場米シーズン到来、例年にない高値…では今年のコメ相場はどうなる?

  4. 9

    中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化

  5. 10

    米価高騰「流通悪玉論」は真っ赤なウソだった! コメ不足を招いた農水省“見込み違い”の大罪