「親孝行の日本史」勝又基著

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 今なお多くの人が口にする「親孝行」。その「孝」という道徳がどのように日本に広まり、社会的、文化的役割を果たしてきたのかを論じたテキスト。

 孔子による孝についての儒教典籍「孝経」は、戦国時代(紀元前5~3世紀)末期に成立。日本には5世紀に伝わり孝思想が浸透する。

 江戸時代、儒教の影響力の拡大とともに孝思想も重んじられ、孝の全盛期ともいうべき時代に突入する。5代将軍・綱吉は、孝行を奨励し、将軍として初めて孝行者を表彰。やがて表彰は全国へと広がり、江戸時代だけで4万人もの孝行者が表彰された。さらに戦前の軍国主義教育における孝の利用や、形を変えて続く現代の孝行者の表彰まで。孝を視点に日本人の家族観、道徳観の変遷を見つめる。

(中央公論新社 946円)

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