「見捨てられた者たち」マッシミリアーノ・ヴィルジーリオ著 清水由貴子訳

公開日: 更新日:

 1984年、マルチェッロが6歳のときに、銀行員の父が本店勤務となり故郷のナポリに戻ってきた。引っ越し当日から、上階に住む2歳年上のレオはマルチェッロにとって気になる存在だった。

 しかし、父親からレオと関わることを厳しく禁じられる。レオの父親は、カモッラ(ナポリを拠点にする犯罪組織)の一員で、母親エステルはアメリカ生まれだった。

 数カ月後、レオの父親が刑務所に入れられ、レオとマルチェッロの関係に変化が訪れる。エステルが教会で行う慈善事業を手伝うようになってマルチェッロの母親は、2人が付き合うのを黙認したからだ。やがて2人は知り合いのタイヤ屋に頼まれ、近所の車をパンクさせて小遣い稼ぎをするようになる。

 出自が異なる2人の30年に及ぶ友情と、それぞれの家族の物語。

(早川書房 1496円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  2. 2

    「備蓄米ブーム」が完全終了…“進次郎効果”も消滅で、店頭では大量の在庫のお寒い現状

  3. 3

    阿部巨人が今オフFA補強で狙うは…“複数年蹴った”中日・柳裕也と、あのオンカジ選手

  4. 4

    さや氏の過去と素顔が次々と…音楽家の夫、同志の女優、参政党シンボルの“裏の顔”

  5. 5

    ドジャース大谷翔平「絶対的な発言力」でMLB球宴どころかオリンピックまで変える勢い

  1. 6

    参政党のあきれるデタラメのゴマカシ連発…本名公表のさや氏も改憲草案ではアウトだった

  2. 7

    参政党「参院選14議席」の衝撃…無関心、自民、れいわから流れた“740万票”のカラクリ

  3. 8

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表「日本人ファースト」どこへ? “小麦忌避”のはずが政治資金でイタリア料理三昧

  5. 10

    ドジャースに激震!大谷翔平の“尻拭い役”まさかの離脱…救援陣の大穴はどれだけ打っても埋まらず