「出セイカツ記」ワクサカソウヘイ著

公開日: 更新日:

 著者はいつも「不安」に脅かされていた。将来、飢えたり、住む所を失ったりしたら……。

 そんなとき、近所に住む悦子さんが声をかけてくれた「草、食べない?」。悦子さんは野草を摘んで天ぷらにするのが趣味なのだ。「なるほど、草ですか……」

 著者は家も失い、食いつめて河原で草を摘んで食べる自分をいつも想像していた。だが、野草天ぷらを食べて驚いた。おいしい。悦子さんが「お金がなくなっても野草を食べればいいんだもん」と言うのを聞いて自分を縛っていた呪縛が解けた。著者の不安は「まっとうな衣食住」という呪いから生まれているのだ。

「社会の当たり前」をユニークな視点から見直すエッセー。

(河出書房新社 1705円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束