「それでも食べて生きてゆく 東京の台所」大平一枝著

公開日: 更新日:

 21歳の専門学校生は、そううつ病の母と、家事に関心がない祖母に育てられた。

 収入は祖母の年金と母の障害年金、生活保護費。母は生活保護費が入ると洋服などを買い込み、家はモノであふれかえっていた。娘がバイトで貯めた学費を母が持ち出して男と駆け落ちした。

 なんとか上京して1人暮らしを始める。ベーコンを焼いたが「火が通るまで」がわからない。いつも野菜炒めばかりだったから。学校の講師からどのジャンルに進みたいか聞かれたが、答えられない。だが、自分で稼いだお金で、安いからでなく、好きなデザインのものを買える。それだけで幸せだ。(「二一歳春。実母と縁を切る」)

「台所」を通してさまざまな人生をリポートしたノンフィクション。

(毎日新聞出版 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  2. 2

    帝釈天から始まる「TOKYOタクシー」は「男はつらいよ」ファンが歩んだ歴史をかみしめる作品

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  5. 5

    立川志らく、山里亮太、杉村太蔵が…テレビが高市首相をこぞってヨイショするイヤ~な時代

  1. 6

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  2. 7

    森七菜の出演作にハズレなし! 岡山天音「ひらやすみ」で《ダサめの美大生》好演&評価爆上がり

  3. 8

    小池都知事が定例会見で“都税収奪”にブチ切れた! 高市官邸とのバトル激化必至

  4. 9

    西武の生え抜き源田&外崎が崖っぷち…FA補強連発で「出番減少は避けられない」の見立て

  5. 10

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ