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 将軍職から退いた後も、大御所として徳川家の繁栄を望み手を打ち続ける家康。一方、一大名家に格下げされた豊臣家の復権を図ろうと虎視眈々と機会をうかがう秀頼の母、淀殿。関ケ原の戦いの後から大坂の陣までを、2人の視点で描く長編小説。

 慶長8(1603)年、家康の征夷大将軍就任に大坂方は衝撃を受けるが、秀頼が成人すれば家康は将軍職から退き、秀頼に天下を返すと考えた。おまけにその夏には11歳の秀頼のもとに家康の孫娘で7歳の千姫が入輿することで、家康は秀頼との共存に舵を切ったことが明らかになった。

 翌年、秀吉の七回忌に行われた豊国神社臨時祭礼で、家康は民衆の秀吉人気を目の当たりにする。その翌年、家康が秀忠に将軍職を譲ったことで大坂方は、家康の豊臣家への天下返還が希望的観測であったことを思い知る。秀忠の将軍就任を祝うために秀頼の上洛を求められた淀殿は、「無理強いするなら、秀頼を殺し、私も死ぬ」と拒否する。

 このとき家康65歳、秀頼は14歳になっていた。

(幻冬舎 2090円)

【連載】大河ドラマで注目!徳川家康がまるっと分かる本特集

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