「ここが終の住処かもね」 久田恵著

公開日: 更新日:

 雑誌ライターをしていたシングルマザーのカヤノは、かつて取材で訪れたサービス付き高齢者向け住宅「ピラカンサ」が気に入って入居した。

 実家で両親の介護を終えた後、独立したはずの息子と娘が帰ってきた。家賃を払うというので、ピラカンサハウスでの生活費が捻出できることになったのだ。そこで知り合いになったサワに相談があるといわれ、カヤノは「カフェそよ風」に向かった。途中の丘の道でソフト帽をかぶった見知らぬ高齢の男性を見かけて、「この先にカフェがあるもので」と声をかけて通りすぎた。

 夏になって、カヤノはふと思いついてオルゴール美術館を訪れた。展示室で出会ったのは、あの日、丘の道で会った高齢の男性だった。彼はなぜかカヤノの名を知っていた。

 70代の新しい出会いを描く、のびやかなシニア小説。

(潮出版社 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    金足農・吉田大輝は「素質は兄・輝星以上」ともっぱらだが…スカウトが指摘する「気がかりな点」

  2. 2

    【夏の甲子園】初戦で「勝つ高校」「負ける高校」完全予想…今夏は好カード目白押しの大混戦

  3. 3

    中央学院戦の「1安打完封負け」は全部私の責任です。選手たちにもそう伝えました

  4. 4

    参政党・神谷代表が予算委デビューでダサダサ提案 ムキ出しの「トランプファースト」に石破首相もNO

  5. 5

    金足農(秋田)中泉監督「やってみなくちゃわからない。1試合にすべてをかけるしかない」

  1. 6

    ドンが次々に退く“昭和の芸能界”の終焉…権力集中、ムラ社会化したいびつな世界だった

  2. 7

    ドジャース大谷翔平の突き抜けた不動心 ロバーツ監督の「三振多すぎ」苦言も“完全スルー”

  3. 8

    8.31に「備蓄米販売リミット」が…進次郎農相は売れ残りにどう落とし前をつけるのか?

  4. 9

    世耕弘成氏がもたらした和歌山政界の深いミゾ…子飼いの参院議員が自民から除名、“紀州戦争”の余波続く

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明