「牧野富太郎の植物愛」大場秀章著

公開日: 更新日:

「牧野富太郎の植物愛」大場秀章著

 いま、再び注目を集める希代の植物学者の評伝。

 牧野の誕生日は幕末の文久2(1862)年、旧暦4月24日とされる。しかし、へその緒袋の表書きや戸籍簿には別の日付が記されているという。著者は、日付からして特定しえない出生こそが、毀誉褒貶(きよほうへん)の入り交じる混沌とした生涯のはじまりを象徴していると記す。

 土佐の小村・佐川の裕福な商家に生まれた牧野だが、幼いときに両親と祖父を亡くし、血のつながらない祖母に育てられた。後に「草木は私の命でありました」とつづるほど少年時代から植物の魅力にとりつかれた牧野は、英語の辞書に載っていた植物の図解に興味を抱き、まずは佐川の植物を世界の人たちに知ってもらおうと決意したという。

 以後、「毀誉褒貶が入り交じる」94年の人生を秘蔵写真とともにたどる。

(朝日新聞出版 891円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…