「裏日本的」正津勉著

公開日: 更新日:

「裏日本的」正津勉著

 以前使われていた「裏日本」という言葉は、差別的であるといわれて、今では準禁止用語扱いである。この言葉は、「近代化の進んだ表日本」と「近代化の遅れた裏日本」という構図を感じさせる。

 福井県の敦賀あたりの北陸道は蛇行して山がギリギリまで迫っていて、降雪も多い。この地形と気候が、この地の人々の心性を形作ってきた。昭和8(1933)年に敦賀を訪れた建築家のブルーノ・タウトは、広重の木版画のような敦賀港の美しさに魅了されたが、埠頭に立つ欧風の建築物に眉をひそめた。桂離宮や飛騨白川の民家などに美を見いだしたタウトには、清浄な国土を汚すものにしか思えなかった。

 ほかに、若い頃、海と数限りない約束をしたのに、放浪の末、帰った故郷で、北陸の海に責められていると感じた詩人、藤原定や、若狭を舞台にした小説を書いた水上勉ら、さまざまな文学作品を通して「裏日本」を見つめなおす。

(作品社 2970円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「丸亀製麺」のトリドールが過去最高益から一転、減益に見舞われた背景

  2. 2

    「24時間テレビ」出演者ギャラ、視聴率目当ての偽善、CM荒稼ぎ…毎年非難ゴウゴウの“内実”に迫る

  3. 3

    「24時間マラソン」満身創痍の星野真里が完走も…募金額46%減&ゴール直前の乱入騒動に非難の嵐

  4. 4

    24時間マラソン完走後にSNSで“陰謀論”が拡散 星野真里に上がった「車移動説」のお粗末

  5. 5

    福井県に「大雨特別警報」が出る中での24時間テレビに意義はあったか? 識者は「災害時には災害情報を」と指摘

  1. 6

    巨人・阿部前監督「9月復帰」情報の真偽…読売グループ内には同情論も、懸案は…?

  2. 7

    サンドウィッチマン伊達で“黄色信号”再点灯…芸能界から「ぽっちゃりキャラ」が消える日

  3. 8

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  4. 9

    北島三郎(4)「毎日が目標です。後ろへは戻れない」 地元・八王子のイベントで生涯現役宣言

  5. 10

    つんく♂の妻を演じる北川景子は寄付金着服問題がくすぶる「24時間テレビ」を救えるか?