「昭和街場のはやり歌」前田和男著

公開日: 更新日:

「昭和街場のはやり歌」前田和男著

 1960年から1970年は安保闘争が激越を極めた時代だった。その運動を継承しようとする動きがあるが、著者は、頭では理解できても情緒的には無理だと感じた。

 それを象徴する同時代の歌が西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」。この歌に当時の全共闘運動の参加者が自分たちの挫折を投影して「60年安保闘争のレクイエム」とする説がある。当時の全学連執行委員は、退屈で投げやりな気分のときにはぴったりだったと述懐する。だが5歳下の著者の世代にはこの歌は洗練されていて詩的すぎた。彼らが歌ったのは「網走番外地」だった。

 ほかに、「カチューシャ」はロシア民謡ではなく、アメリカのジャズにならったソ連製ジャズだったなど、意外な話が満載。

(彩流社 2750円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 5

    菊乃井・村田吉弘さんが日本食の高級化に苦言…「予約が取れない店がもてはやされるのはおかしい」

  1. 6

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

  2. 7

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  3. 8

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  4. 9

    【埼玉・八潮市道路陥没「2次被害」現場ルポ】発生2週間、水は濁り死んだ魚が…下水放流地で見た河川の異変

  5. 10

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」