「昭和街場のはやり歌」前田和男著

公開日: 更新日:

「昭和街場のはやり歌」前田和男著

 1960年から1970年は安保闘争が激越を極めた時代だった。その運動を継承しようとする動きがあるが、著者は、頭では理解できても情緒的には無理だと感じた。

 それを象徴する同時代の歌が西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」。この歌に当時の全共闘運動の参加者が自分たちの挫折を投影して「60年安保闘争のレクイエム」とする説がある。当時の全学連執行委員は、退屈で投げやりな気分のときにはぴったりだったと述懐する。だが5歳下の著者の世代にはこの歌は洗練されていて詩的すぎた。彼らが歌ったのは「網走番外地」だった。

 ほかに、「カチューシャ」はロシア民謡ではなく、アメリカのジャズにならったソ連製ジャズだったなど、意外な話が満載。

(彩流社 2750円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲